高学年の指導 2 高学年向けのアクティビティー 2005年1月30日

高学年になると低・中学年のようには歌やゲームを楽しまなくなります。5, 6年生の知的レベルに合ったアクティビティー、中学での英語に役立つものが遊びながら身につくアクティビティー、長い間英語を勉強してきた高学年でも楽しめる歌の扱い方などについて取り上げます。新しいフォニックスの教材や、読み書きの指導のためのいろいろなゲーム、達成感を持たせて意欲を持ち続けさせるためのさまざまな工夫なども同時に考えます。

1. 参加者の自己紹介 今日一番知りたいこと、指導上の課題や疑問など

  • メロディーの入っていないリズムのみの音声教材が欲しい。
    (多くの歌の教材は、歌の後にカラオケがついているので、そういう教材を使うとよいという提案が参加者からありました。)
  • 英語だけで教えるときの表現を扱った本があれば知りたい。
    (阿倍恵子フォード著「教室ふれあい英語表現集」CD付き ロングマン ISBN 4894718359 という本があると紹介しました。)
  • 親子の自然な会話の本があれば知りたい。
    阿倍恵子フォード著「親子で楽習生活ふれあい英語表現集」CD付き ロングマン ISBN 4894718634 ¥1,600 という本があると紹介しました。)
  • 低学年と高学年の違いについて知りたい。(後記の3.を参照してください。)
  • 中学以前にどのような文法を教えたらよいか知りたい。(後記の2.3)を参照してください。)
  • 高学年向けのアクティビティーを知りたい。(後記の4を参照してください。)
  • よくわかっている会話文でも、文字を見たとたんにたどたどしく読むのをどうしたら防げるか。
    (文章を読む力がついてきたことの証拠なので、悪いことではないと思う。一度読んだら、目を文章から離して相手の目を見て、同じ文を言うようにしてはどうかという提案をしました。)
  • 読み書きの指導法(後記の4.2を参照してください。)

2. 高学年で何をやっておけば役立つか (11/28のワークショップの記録と同じです。)

2.1 文化的なこと

  • 異文化へ興味を持たせる 英語圏ばかりでない他の国々の同年代の子どものこと知るような内容
    服装、学校のこと、言葉や文字など
  • 会話を続ける方法
    話す内容や話題を見つけ、会話を続けていくスキル
    あいづち I see. Really? Me, too. など
    相手へのポジティブなコメントのしかた

2.2 表現力

  • 日本語でいつも話しているような内容、身近な話題について話せるようにする
  • 自分について表現できるようにする I need… I want… I have…など
  • ひとつの単語を3つの単語か文章で表現する three hint gameのような遊びをする
  • 単語でなくチャンクで(系統だったチャンクの指導プランがあれば知りたい)

2.3 文型と語彙

  • Are you…? Do you…? Can you…?などの文型
  • Itで始まる文
  • 数と、countable nouns/uncountable nouns
  • 基本の単語 中学の教科書で扱わないけれど、日常生活に必要な単語
  • よく使う単語とその単語を使った文章 単語レベルでなく、文章を丸ごと頭に入れる
  • 自然な早さの表現を聞いて内容がなんとなくわかるようにする
  • 5W+1Hを繰り返し練習する Yes./No.で答える文との使い分け
  • 冠詞
  • 付加疑問文
  • 人称代名詞の概念
  • 単数と複数の概念

2.4 音声と読み書き

  • 音声指導 自信をもって発話できるようにしたい
  • 自然な発音の文 don't you?→ don'tya? 音のつながりと脱落など
  • フォニックス 三文字単語の読み書きくらいまで
  • アルファベットの読み書き
  • 簡単な物語をたくさん聞き、声にも出して読み、文字と音に慣れる

3. 高学年が楽しむアクティビティーの要因 低学年とどう違えればよいか。

  • チャレンジできる要素がある。わくわく、どきどきする。
  • 目新しい。今までやったことがない。
  • 扱う題材や内容そのものに興味がある。知的レベルにあっている。
  • 自分に合っている。難しすぎないし、簡単すぎない。好きなものを選べる。
  • 絵や教材がきれい、おもしろい、触ってみたい。

4. 高学年クラス向けのアクティビティーと評価

4.1 Speakingのアクティビティー

質問ゲーム (質問を選ぶ2とおりの方法を実際に体験し、どちらが自分のやり方とクラスの子どもにに合っているかを考えてみました。ゲームやアクティビティーはやり方によっては、全く違った展開と効果があります。教える立場から少し離れた目で見るとわかってくることが多いように思います。)  

4.2 Readingのアクティビティー

フォニックスを指導して単語が読めるようになったら、簡単な絵本などを使って英文をたくさん音読するとよい。生徒は、自分の好きな本を選び、個別に音読して先生に聞いてもらう。その後、用紙にBook Reportを書き、要約と感想を日本語で記入、タイトルと読んだ日は英語で記入する。評価印かシールをもらったら各自のファイルに保管する。先生が保管する別のカードに読んだ本の番号を記入する。

4.3 文法を意識させるアクティビティー

  • Monster Guessing Game

    It has …をインプットしながら、身体の部分の名称と数を復習するゲーム。先生の出すヒントを聞いてどのモンスターについて述べているかを生徒が考えて番号で答える。文型に慣れたら先生の役を生徒が行ない、発話できる(ヒントが出せる)ようにする。

  • 現在進行形の作文ゲーム

    主語となる人称代名詞とbe動詞のカードを一致させながら、好きな動詞のカードと目的語カードを選び文を作る。ピリオド(裏は?マーク)も1枚のカードにして、文末につけるルールを意識させる。主語カードとbe動詞のカードも表と裏の両方が使えるように作る。(裏はAre、表はareのように裏と表に書く。Is/is. We/we, You/you, They/theyについても同じようにする。)文の成り立ちを考えさせるのにもよい。

  • 人称代名詞のmatching Game

    it/theyの概念の定着と、he/sheの復習、兼三単現のSの文章のインプット。he/she/it/theyのカードと、対応する絵をマッチングさせる。文字が読める生徒は絵の下の文章も読む。

  • Guessing Game: Where is the teddy bear?

    ボードに描いた(貼った)家の絵の中に生徒がマグネットの熊などを置く。先生はどこにあるかを見ずに、生徒にIs the teddy bear in the living room?などと質問し、Is it/the teddy bear …?の文型をインプットする。生徒たちはYes(, it is)./No(, it isn't).で答える。文型に慣れたら先生の役を生徒が行ない、質問ができるようにする。

5. 紹介した教材の名称(11/28のワークショップで紹介したものとほぼ同じですが、今回は菊池のコメントを入れました。)

  • JUNIOR COLUMBUS 21 BOOK 1 編集委員 東後勝明 小泉清裕ほか著 光村図書出版 ISBN 89582-315-1 3,4年生用 
  • JUNIOR COLUMBUS 21 BOOK 2  編集委員 東後勝明 小泉清裕ほか著 光村図書出版 ISBN 89582-316-X 5,6年生用

どちらも通常のコースブックのように文法と語彙を学ぶのでなく、基本的な単語の範囲で英語を使うようになっている。いろいろな物の大きさを計ったり、好きな食べ物を言うなどアクティビティーをしながらすすめるように編集されている。内容もよいが、装丁もリング綴じで使いよく、表紙も丈夫にできていて、生徒が本に記入できる。現時点では検定教科書取り扱い店で購入する。

  • AMERICAN Chatterbox Student book 1. Derek Strange. Oxford University Press. ISBN 0-19-434590-4
  • AMERICAN Chatterbox Workbook 1. Derek Strange. Oxford University Press. ISBN 0-19-434592-0

かなり前からあるコースブック。登場人物がちょっとした冒険をしながらストーリーがすすみ、その過程で適度な量の文型と語彙が学べる。ワークブックも楽しいし、内容もそれほど多すぎない。アルファベットが書ける5~6年生によい。

  • American Primary Colors Student Book 2. Diana Hecks, Andrew Littlejohn. Cambridge University Press. ISBN 0-521-53916-1
  • American Primary Colors Activity Book 2. Diana Hecks, Andrew Littlejohn. Cambridge University Press. ISBN 0-521-53917-X

扱う文法と語彙はそれほど多くないし、ユニットが少なく、他の教材と併用して使える。絵カードが片面のみの印刷で使いよい。アクティビティーブックがオールカラーで、シールなどを貼るスペースがあり楽しく学べる。子どもの発達心理がよくわかった著者が書いている。5月31日までBook 1, Book2はセット割り引き販売をしている。

  • Longman English Playbooks. Longman.

前置詞、形容詞、食べ物、動詞など、テーマ別に編集されていて、教えたい内容が選べる。1册が690円で購入しやすい。

  • Longman Children's Picture Dictionary. ISBN 962-00-5233-1
  • Longman Children's Picture Dictionary. Workbook 1. Aleda Kraus. ISBN 962-00-5317-6
  • Longman Children's Picture Dictionary. Workbook 2. Greg Cosu. ISBN 962-00-5318-4

語彙だけでなく、文法も会話の中で学べる。Teacher's Resource Bookには、使い方のほかにゲーム用のシートやコピー可能な絵カードがあり、これらを使うと遊びながら自然に学べる。生徒用の本にCDが付いていて、歌とチャーントもあり、2,500円と手ごろな値段でよい。歌などを家庭学習で聞かせるとより効果的。

  • Activity Book for Children Book 2. Christopher Clark. Oxford University Press. ISBN 0-19-421831-7
  • Activity Book for Children Book 5. Christopher Clark. Oxford University Press. ISBN 0-19-421834-1

日本で英語を教えた経験のある著者が書いたためか、人称代名詞と形容詞を組み合わせたりして、日本人の弱い部分が入門期から自然に楽しく学べる。Book 5は三単現のSもカバーしている。文章を読みながら絵を描いたりして自然に文法が扱える。なぜか値段がだんだんと上がってきていて、現在は900円とかなり高いのが唯一の欠点。

  • Dolphin Readers. Oxford University Press.

今春発売予定のリーダー。絵本の中にアクティビティーブックが組み込まれている。絵本として楽しみたければ左ページのみを読めばよい。スターターからレベル4まで5レベルあり、ジャンル別に4種類(Grammar, Living Together, The World Around Us, Science and Nature)、各2册ずつある。詳しくは2005年のOUPのカタログ26ページを参照。

  • Very Easy True Stories. Sandra Heyer. Longman Pearson Education. ISBN 0-201-34313-4

シリーズの中で一番簡単なレベルの読み物。一こまずつの絵に文章が1~2あり、絵でだいたいの内容は把握でき、小学生高学年でも読める。実際にあっためずらしい話しということも生徒が興味を持つ要因のひとつでもある。読むだけで終わらせず、語彙や理解度のチェックもできる編集になっている。このシリーズは多くの先生のお薦め教材。