高学年の指導 中学への橋渡しとしてやりたいこと 2005年2月08日

小学生から言葉としての英語を楽しく学んだ子どもが、中学で教科としての英語に出会ったときに、かなりのギャップを感じます。このワークショップでは、中学入学までにどのようなことをしておけば小学生での学びが有効になるかを考えます。検定試験への準備や、学校で使う検定教科書を使う先取り授業をする英語塾などとは違った方法で、中学に備え、なおかつコミュニケーションとしての英語力へつながる道を探ります。

1. 参加者の自己紹介 今日一番知りたいこと、課題、指導上の問題など

  • 小学校での指導法
  • 三単現のSの指導法
  • 宿題の出しかた
  • 宿題をやってこない生徒への対応
  • 小学生のときに学んだことが中学での成績に表れないので、どうしたら効果的に教えられるか
  • リーディングの指導
  • コミュニケーションとしての英語と教科としての文法指導のバランスのとれた指導法
  • 歌の指導法
  • 中学の検定教科書を使って6年生を指導して欲しいとの親の要望に応えたい
  • 中学で文法用語を使って説明することから起きる生徒のつまづきを防ぎたい

2. 自分自身が学ぶときに役立ったこと、指導していて役立つと感じること

(音声面の学習の大切さ、動機付けの大切さ、基本的なことを反復練習して身につけること、自分の興味やレベルにあったことを学ぶこと、実際に使う機会を設けること、などにまとめられるかと思います。)

  • リスニングの力をつけておくこと
  • 音声を伴う学習をすること
  • 映画など自分の好きなもので、自分で学ぶ
  • ラジオ講座で学ぶ
  • 楽しい会話を聞いた
  • 自然な英語をCDで聞き、口に出して言う
  • ディクテーション
  • 教科書の1レッスンを暗唱したこと
  • 絵本などで丸暗記をし、絵を見ながら暗唱する
  • 歌やチャンツを使って丸ごと覚える(多数の先生方が歌やチャンツは有効と考えていました。)
  • 最近はやっている歌を意味を理解してから歌う
  • 実際に英語を使う機会があること
  • 英語の環境に身を投げ込むこと
  • スピーチコンテスト、英語劇など発表の場を与えること
  • 短期間でも英語を話す場所に滞在すること
  • 文通
  • イベントなどの行事のときに覚えた文章はよく覚えている
  • 視覚を通して覚えたことは長く残る
  • 具体的な目的があること
  • 自分のことを表現すること
  • 興味があって取り組めること
  • 英語の先生を好きになり、いつも単語テストで満点をとったこと
  • スペリングコンテストを学年全体で体育館で行なったこと
  • 単語の練習をしたこと
  • おだてたり、ほめたりして得意感、達成感を与えること
  • 生徒のレベルより少し高めの教材を選び、達成感を与えること
  • 文法問題をたくさんやったこと
  • 基本的な会話を自在にあやつれるようにすること
  • 日本語と違う表現を数多く覚えること("After you."などの表現)
  • リーディングとそれについてのQAに答えること

3. 指導しておくとよい文法事項など

  • be動詞と一般動詞の区別
  • 三単現のS
  • 単語を単独でなくフレーズで覚える on Sunday/on the tableなど日本語を入れないで理解する
  • 人称代名詞(主格、所有格、目的格)
  • 冠詞、定冠詞(a/an/th)
  • countable noun/uncountable noun
  • 単数と複数の概念

4. 高学年クラス向けのアクティビティー

4.1 文法を定着させるためのアクティビティー

三単現のSの言い方の練習

動詞にSをつけて言う練習をする。I jump. He jumps. She jumps. It jumps.のように、主語をかえてひとつの動詞にSをつけて言う練習をする。

Chainの応用:三単現のSの言い方の練習

生徒がよくわかっている動詞の絵カードを持たせ、Chainの要領で、I play the piano. He plays baseball. She eats ice cream.のように持っている絵カードについて表現する。主語はカードを持っている生徒の性別に合わせる。クラスに男の子、あるいは女の子がいない場合には、人形やぬいぐるみに絵カードを持たせてHe/Sheの代理にする。

He/She has …の言い方の練習

手になにかを持っている人物の写真を切り抜いて絵カードを用意する。そのカードの写真や絵についてHe has … She has …と表現する。

Bomb Bingo Game/Monster Bingo Game:動詞カードを使って三単現のSの言い方を聞かせる

先生がコールする動詞カード16枚にはマイナスのイメージもの(爆弾とか、モンスターの絵を大きめのポストイットにのりで貼ったものなど)を4枚用意して絵カードの裏に付けておく。通常のビンゴゲームのように先生がコールするが、爆弾かモンスターのカードが2枚出る前に、生徒のだれかがビンゴになっていれば、生徒側が勝つ。もしだれかがビンゴになる前に爆弾が2枚出たら生徒側の負け。生徒同士で競争しないので、競争を嫌うクラスや低学年でも遊べる。通常のビンゴゲームには飽きてしまったクラスでも新鮮に感じる。コールする文例:He plays bseball every Sunday. She watches television in the living room.などのように時間や場所を表す語も入れるとよい。慣れてきたら、コールする役を順番に生徒にさせればスピーキングの練習になる。

4.2 その他のゲーム

Matching Game

生徒に聞かせたい質問と答えのペアを9組用意して神経衰弱の要領で遊ぶ。選んだ質問と答えが合っていればよい。(ゲームの詳細は、アクティビティー集の中のスピーキングをクリックすると、8番目に記載されています。)

5. リーディングの指導

5.1 Book Report

一人ずつが好きな絵本を選び、その本を音読し、Book Reportを書く。Book Reportには、その本のあらすじと感想を日本語で書く。タイトルと読んだ月日は英語で記入する。

5.2 絵本の音読

高学年の知的レベルにあっていて、しかも英語のレベルがちょうどよい本はあまり多くはない。内容があまりない本は、Book Reportを書かずに音読を数多くするだけでも生徒の自信につながる。

上記は、レッスン中に時間を使ってもよいが、生徒が早く教室に来たときの待ち時間を利用して行なってもよいし、クラスに欠席が多くあまりレッスンを進めたくないときにもよい。

新しい教材の紹介:Dolphin Readers. Oxford University Press

今春発売予定のリーダー。絵本の中にアクティビティーブックが組み込まれている。絵本として楽しみたければ左ページのみを読めばよい。スターターからレベル4まで5レベルあり、ジャンル別に4種類(Grammar, Living Together, The World Around Us,Science and Nature)、各2册ずつある。詳しくは2005年のOUPのカタログ26ページを参照。

6. ライティングの指導

6.1 Days of the weekを使ったClass Survey

どの曜日に何をするかを生徒同士が質問して結果をワークシートに記入する。次の週に、その結果についてShiori plays tennis on Saturday.のように表現したり、先生の質問に答えたりする。例:Who goes to jyuku on Monday? What does Ken do on Tuesday? 質問の書かれた別のワークシートに答えを記入する。全員で文章を読んで、動詞にSのついた形に慣れる。

6.2 食べ物日記:3日分の食べ物を記録するワークシートに月日、曜日、天気なども記入

上記のことが記入できるワークシートを用意し、家で食べ物の絵と天気の絵を描き入れてくるように宿題の指示をする。次週に生徒が、I ate … on Monday.のように表現する。クラスで曜日や月日を英語で記入して完成させる。

7. 歌

-The Bag Song Let's Chant, Let's Sing Book1. Oxford University Press
-He has it Chants for Grammar. アプリコット社

歌う前に課題を与えてたくさん聞かせ、部分的に歌うなどのステップを踏むこと、高学年は歌うだけでなく、なにか単語を書き入れたり、絵を描いたりして歌詞を読むようにするとよい。(歌の指導法については昨年3回取り上げましたので、ワークショップの記録8/26、9/12、9/28に記載があります。よかったら参考にしてください。)

8. 参加者の疑問、課題など

-宿題の出しかた
週1回のレッスンでは時間が限られているので、宿題は毎回必ず出し、内容を必ずノートなどにメモさせる。やってきたら評価する。内容は短時間で一人でできる簡単なことを出す。ワークブックは難しいので、単語や文章の書写にとどめるとよい。

-宿題をやってこない生徒への対応
レッスンに来るだけで精一杯の子もいるので生徒の置かれている状況を考慮した上で、やってくるように言う。ペナルティーを与える。残してやらせる。やってこないとレッスン中に困るような内容を出す。

-中学の検定教科書を使って6年生を指導して欲しいとの親の要望に応えたい
別の教材を使って検定教科書の内容を扱うほうが生徒にとってよいのではないか。

-中学で文法用語を使って説明することから起きる生徒のつまづきを防ぎたい
ゲームの中で口頭で練習したり、遊びをとおして身につけるようにする。