絵本を指導に取り入れる 2005年5月29日

◯今日一番知りたいこと

  • 絵本の導入法と定着のさせ方について
  • 扱うときの注意
  • 読み聞かせ方、日本語訳の入れ方、日本語訳や補足の説明を日本語で入れてもよいか
  • 楽しい絵本を英語のレッスンで扱うとつまらないものになるのではないか心配
  • 年齢別の効果的な扱い方
  • 音声教材の活用のしかた
  • 選び方
    フォニックスのマジックe、2文字子音を学んだ生徒にふさわしい本にはどんなものがあるか
    年齢別、学習歴別のふさわしい絵本の選び方
  • 繰り返し使う方法
    同じ本を2回、3回と使う方法 もう飽きたと言われずに何週間か持たせる方法
  • レッスンの中で効果的に利用する方法 いつ絵本を使うかのタイミング
    指導マニュアルどおりにレッスンの最後にするといつも時間がなくなる
  • 絵本を素材にしたアクティビティーについて
    導入前のアクティビティー
    飽きずに繰り返して読むことができるようなアクティビティー
    1册の絵本でどのようなアクティビティーができるか
  • 子どもの場合の多読指導
    多読を英語歴3年目くらいから導入したい クラスでのスタートのしかた
    レッスンの中での多読の時間の取り方
  • ワークシートなどを使った展開のさせ方
    ある絵本のワークシートを他の絵本に応用する方法 ワークシートを使いまわす
  • メインで使用しているコースブックがある場合の絵本の扱い方と、導入の時期
  • 子どもの知的レベルと英語のレベルの差があるので、それをどうするか
  • 家庭との連係について
  • 未就学児と親子のクラブで、目安になるものが欲しい
    多読を開始してから年齢が上がると共にどのようにステップアップしていけばよいか
  • ORT(Oxford Reading Tree)を導入するのに一番効果的なのはいつか
    幼児の保護者が、ORTを使って早く英語が読めるようにしたいとあせっている
    自分の方針では、幼児は耳から学ぶのが適切な年齢だと思う
  • 年長と小学1年生の指導で、outputの差について
    積極的な子どもと何も言いたくない子どもがいるクラスの指導法

1)絵本の効用

  • 言葉に自然になじみ、覚えやすい
  • リズムのよい本を読むと英語のリズムが定着する
  • 語彙や文章がよく入る
    幼児は絵本を見せながら音声教材を3回聞かせるだけで覚えてしまう
  • ページをめくるときにわくわくした感じを味わえる
  • 物語の展開が楽しみで絵本の世界に引き込まれる
  • 子どもの反応を見ながら読める
  • 絵からいろいろなメッセージが得られる
  • 子どもの置かれた日常の状況以外のめずらしいこと、異文化の状況がよく伝わる
  • 絵本の登場人物の生き方や、人間として望ましい姿勢などの見本を提示できる
  • レベルや生徒の興味、そのときのクラスの状況に合わせていろいろな使い方ができる 導入として使う、仕上げとして使う、さっと読み聞かせるだけ、
    生徒と掛け合いで読む、内容について質問する、内容を展開させる、
    生徒が音読するなど
  • フォニックスを学んだ後に生徒自身が本を読むことで、大きな自信につながる
  • 想像力が豊かになる
  • 生きた英語、場面にぴったりの言い回しなどが丸ごとフレーズで入る
  • レッスンの最後に余った時間や、アクティビティーがうまくいかないときなどに準備なしですぐに使える
  • 適切な本を選べば、どのように扱ってもあまり大きな失敗やマイナスになるようなことがない
  • 生徒が教室に来る時間に差があるときに、絵本を読めば待ち時間を有効に使える

2)絵本の指導法

 

◯ 読み聞かせ方のいろいろ

  • 書いてあることをそのまま読む 日本語での説明などを全く入れない
  • 英語を読みながら、補足として生徒に日本語で語りかけながら内容の理解を助けるように読む
  • 英語を読んでから、後で日本語を読む あるいは、日本語読みのCDを聞かせる

◯ 繰り返して読み聞かせるときのテクニック

  • 一回目はストーリーの展開を楽しめるように普通に読む
    わかっていないと話の内容が理解できない単語がある場合は、補足の説明か日本語訳をする
  • 二回めに読むときには表紙を見せて、内容をどの程度覚えているか質問して生徒から引き出し、それを確かめるようにしながら読む。
    どんなストーリーだったか
    どんな登場人物はだれか
    どんなものが出てきたか
    順番はどうだったか
    最後はどうなったか
  • 何回か読んだ後は、生徒を巻き込んだ読み方をする
    繰り返し出てくるフレーズや、知っている単語を生徒に発話させながら読む
    登場人物の役割を分担して、掛け合いで読むか、先生の後をリピートする
    覚えてしまっていれば、生徒が絵を見て読む/唱える

◯ たくさん読ませる

  • 生徒が自分の好きな本を選んで、クラスの時間内に先生に音読し、Book Reportを書く
  • 生徒に貸し出し、家で楽しむ

◯ 同じ絵本を何回も使わずに1度だけ読む

  • 絵本は生きた英語に触れるチャンスと考え、クラスの最後などに楽しく読む
  • 読む本の内容は、必ずしもその日のレッスンの内容と関連していなくてもよい
  • 読んだ後で本の内容を展開したり、語句を教えたり、カードゲームをしたりしない

◯ 生徒からなにかを引き出す

絵本は、自然な言語のインプットとしてだけでなく、生徒自身の経験や感想の他、別のバージョンのストーリーを作ったり、話の続きを考えるなど生徒の創造力を引き出すことも可能です。これらのことは、絵カードや単語カードを用意したりせずに紙1枚あればできる簡単なことですので、試してみてはどうでしょうか。

3)各社のリーダー比較と絵本選び

数多くあるgraded reader教材の中から、主にクラスで実際に使用した教材3種類(LongmanのMice Series, MacmillanのSpringboard, OUPのDolphin Readers)と、ESL用でないauthenticな絵本を、ワークショップで展示して紹介しました。

それぞれにとてもよい点があり、どれが一番よいとは一口には言えません。選ぶときに考慮することは、テーマ、レベル、価格、アートワークの好み、イラストか写真か、1册のボリューム、入手方法が簡単か、音源がついているか、扱っている言語材料が適切か、生徒の好みと興味などがあると思います。

どういう使い方をするかによって選ぶ基準が変わると思いますが、一番大切なのは、生徒が興味を持ちそうな内容であるか、先生自身が好きかどうかということではないでしょうか。多少難しくても、内容に興味があれば生徒が楽しめる、満足できることを何回か実際に経験しました。また、あまり難しすぎて生徒のやる気を失わせてはならないとも思います。

4)絵本を使ったアクティビティー

◯ 読む前

  • 表紙を見せて質問する、表紙の絵について生徒が英語で表現する、絵を見て内容を想像する
  • 絵本の内容と関連があることを生徒から引き出す
  • 知っていないと内容が理解できない単語があるようならば事前に教える

◯ 読んでいる最中

  • 内容に関することについて生徒と会話しながら、生徒の経験、意見、気持ちを引き出す
  • 次のページを読む前に話の展開を推測させる
  • 絵本の最後のページを読む前に結末を予測させる
  • 繰り返し出てくるフレーズをクラスと掛け合いで読む
  • 日本語の説明をごく簡単に入れる
  • 登場人物と同じような動きや動作を生徒全員がする、あるいは生徒何人かを選んでその生徒がする

◯ 読んだ後

  • Book Report タイトルは英語で、あらすじと感想は日本語で書く
  • My Version 同じようなストーリーの絵を自分で考えて絵を描く 文を入れる
  • What happens next? 話の続きの1ページ分を考えて絵を描く 日本語でストーリーを書いてもよい
  • Sequence 出てきた単語の絵カードを話の順番に並べる
  • Picture Cards 出てきた単語の絵カードで遊ぶ
  • Literacy 絵カードと単語カードを使ってカードを合わせるゲームをする 絵に単語を書く
  • Role Play 登場人物のセリフを言う
  • Act Out 小道具や衣装などを身につけて寸劇に仕立てて発表する 
  • Puppet Show ぺープサートや指人形を使って表現する
  • Read Aloud 一人で全部読む 1ページずつ分担するか、役割分担して読む キーワードだけを読む
    先生と一緒に読む 先生が読んだ後に文字を見て言う
  • Songs and Chants 関連のある歌を歌う
  • Comprehension Check/Quiz 本の内容の理解度をチェックする質問をする クイズを出す
  • Class Survey 本の内容を受けて、表などに絵を描き生徒同士で質問をして答えを記入する
  • Wrong Sentence 絵本に書いてあるのとは違う文章を読み、生徒がその箇所を聞き当てる

5)参考図書

  • Andrew Wright(1995) Storytelling with Children. Oxford University Press ISBN 0-19-437202-2
  • Wendy A. Scott and Lisbeth H. Ytreberg (1990)Teaching English to Children. Longman ISBN 0-582-74606-X
  • ルドルフ・シュタイナー 坂野雄二 落合幸子共訳「教育学」みすず書房 ISBN 4-622-00613-8
  • 大村はま「教えるということ」ちくま学術文庫 ISBN 4-480-08287-5