英語講師の七つ道具 2006年9月28日

このワークショップでは子どもの英語指導に役立つ副教材や小物を集めて紹介しました。基本的な絵カードも、ちょっとした扱い方の違いで質問がいきいきとしたものになったり、おもしろくないものになったりします。何を使うかも大切ですが、どう使うかでかなり変わってくることをいろいろなアクティビティーをとおして体験しました。

○ フラッシュ・カード

  • 絵カード、アルファベットカード、数字カード、単語カードなどは、小・中学生に英語を教える上での必需品。カードは導入、展開練習、理解度のチェック、ゲームといろいろな段階で使える。ただ見せるだけでなく、カードの一部をかくしたり、フラッシュさせる(一瞬だけ見せる)などのテクニックを使うと、生徒の注目をひくことができ効果が一層あがる。カードを見せてから伏せて、そのカードについて質問すれば生徒と自然な会話ができる。
  • カードを黒板にマグネットでとめて使うときには、いつまでも絵を指で差していると生徒の注意がそれることがある。What's this? あるいは、What is it?と質問しながら絵を指差し、すぐに絵から手を離す。黒板に注目していない生徒がいれば指名する。その生徒は答えられないことが明らかになるので、その後は全員が指導者の手の動きをしっかり見るようになる。こうすることでクラス全員の注意を引き付けることができる。
  • 絵カードを手に持った場合は、絵カードを全部見せずに別のカードの裏を使って絵を覆い、上から、あるいは下から少しずつ見せていくと興味が増す。絵を全部見せて、What is it?や、Is this a …?というのは不自然である。なにかわからない状態を作り出してから質問すると会話が自然になるし、生徒の興味をひきつけられる。

○ おもちゃ(ままごとセット、プラスチック製の野菜・くだもの・動物、ミニカー、人形、ぬいぐるみなど)

  • 前置詞の復習に使う
    先生の指示に従って、正しい場所に置く。生徒が先生の役をして別の生徒に命令をしてもよい。
  • なぞなぞ
    レッスン前に箱の中に品物を入れてふたをしておく。授業でヒントを出して、中に何が入っているか生徒にあてさせる。
  • Memory Game 1
    箱の中にいろいろな物を入れて生徒に30秒程見せてふたをする。生徒は何が入っていたか思いだして英語で言う。
  • Memory Game 2
    お盆の上にくだもの、野菜をたくさんのせて生徒に見せる。先生はスカーフでお盆を覆い、何かひとつを手に取りスカーフごと持ち上げる。お盆に残ったくだものと野菜を見て、スカーフの中に先生が持っているものを生徒が答える。What's this?の導入によい。
  • What's missing?
    大勢のクラスではテーブルの上の物が見えないので上記の方法でなく、黒板を使う。絵をボードにマグネットでとめ、生徒に目を閉じるように言う。その間に絵カードを1枚取り、その絵がなにかを思い出して言う。

○  指人形、ペープサート

  • 発話のモデル
    教師が会話の見本を見せるときの相手役に使う。指人形と先生が、Role Playをして生徒に見せる。
  • Total Physical Response
    生徒に期待する動作を人形が行う。先生が命令文を言い、人形がその動作をしているように先生が動かす。
  • 生徒に話しかける
    生徒に質問をするときに使う。教師と生徒の会話より、指人形と生徒の会話の方が生徒に与える心理的なプレッシャーが少ない。
  • Role Play
    何組か用意して生徒同士の会話練習に使う。生徒が自分自身以外の人や動物になったつもりで英語を話すことができる。指人形は手にはめるのに時間がかかることがあるが、ペープサート、小さいぬぐるみやプラスチックの動物などはすぐに次の生徒に渡せる。このほか、お面なども生徒に作らせるとよい。

○ アルファベットや数字の型抜きのおもちゃ

100円ショップで売っている型抜きしてあるおもちゃの数字やアルファベットを1個取り出して生徒の前のテーブルに置く。生徒は目を閉じて手で触れ、指先の感触だけでなんの文字かや数字かをあてるのもおもしろい。大人数の場合は、ボードなどにマグネットなどで貼って他の子ども達からも見えるようにして遊ぶと、見ている子どもも退屈しない。

英語クラスでは通常、視覚と聴覚に頼って情報を多くやり取りしているが、手先の感触を使うアクティビティーも取り入れて触角を使うようにするとよい。

○ ポーカーチップ、おはじき、碁石、カラーチップ

  • 授業の中でよくできた生徒へのごほうびとして与える。
  • ゲームの得点として点数の数だけ与える。
  • 生徒の発話を促す活動で、発話した文章の数だけ与える。
  • ビンゴゲームでコールされた絵や文字の上に置いて使う。
  • 英語で表現ができるか、または、できないかの確認のために使う。テキストやピクチャーディクショナリーなどの英語が言えた箇所におはじきを置く、または、言えない箇所に置く。
  • すごろくのコマとして使う。

カラーチップは、カラー工作用紙(片面に色、裏面には1センチ方眼のます目が印刷されているB4版のボール紙)を切っても作れる。2センチ角に切ったものを一色につき30片くらい用意する。これをなん色か作って色別に袋に入れておくと、生徒に配るときに便利。

○ サイコロ

  • すごろくで使う他に、複数のサイコロを同時にふり、足した数をできるだけ早く英語で言う遊びにも使える。また、ゲームの順番を決める時、人数が多いとじゃんけんではなかなか決まらないのでサイコロを使って多い数を出した生徒から始める。
  • 疑問詞と組み合わせる
    ふつうのサイコロと疑問詞6個を組み合わせる。1がでたらHow、2がでたらWhat、3はWhoのように6つを決める。(後述の無地のサイコロに疑問詞を書いてもよい。)
    How are you? How many … are there? How is the weather? How much is …? How do you spell …?など、
    What's your favorite …? What is your telephone number? What do you call this?と教室にある物を指差すなど、
    Who works in a hospital/school? Who is your best friend? Who is your homeroom teacher?
    Where is your bag? Where is the clock? Where does a doctor work? など
    そのクラスにふさわしい疑問詞を使った質問をする。
  • サイコロを4つ使って大きい数の練習
    それぞれ色の違ったサイコロを用意する。(大きさの違うものでも可)まず、どのサイコロを一番にするか順番を決める。赤を1、青を2、緑を3、白を4番に決めたとすると、赤を最初に振る。次に青を振り、次々に4つ振り、出た数字を順に言う。赤を千の位、青を百の位、緑と白で残りの十と一の位の数字を言う。出た数字をボードに記録しておき、全部の数の合計を出す、あるいは横4桁の数を足す、などして大きい数字を言う練習してもよい。上限で6,666までしか練習できないが、タイマーをかけて時間内にいくつまでいくかなど予測してから遊ぶのも楽しい。
  • 無地のサイコロ
    牛乳パックや厚紙で作ってもよいが、発泡スチロール製、木製のものがホームセンターなどの木材売り場で手に入る。ふつうのサイコロにシールをはったり、タック紙などの無地のラベルに書き込んだりして以下のように加工してもよい。
  • 発話用のさいころ
    さいころの一面には果物のシールを何枚かはる。別の面には、食べ物のシールを何枚かはる。このほか数字のシール、アルファベットのシール、誕生日のケーキとろうそくのシール、動物のシールなどを六面全部にはる。動物の面がでたら、What animal do you like?、食べ物のシールは、What food do you like?、誕生日のケーキの面がでれば、When is your birthday? のように質問する。数字が出たときは、What is your telephone number? 、アルファベットの面がでたら初級ならHow do you spell your name? 単語が書ければ、How do you spell…? などレベルに応じた質問をする。クラスの初めの復習などに使える。先生の質問に答えられるようになったら、生徒が質問できるように練習する。
  • 数字を英語でスペルアウト
    1~6の数字を英語でスペルアウトしたサイコロを作り、すごろくなどで使う。ゲームをしながらone, two, three, … six が読めるようになる。
  • 1~3のさいころ
    無地のさいころに小さいシールを貼って、通常のさいころとは違って1~3までしか出ないようにする。1面にシールを2つ、別の面には1つのように身近にある小さなシールを貼る。あまり大きい数が出ないようにしたいときに使用する。
  • ○、×、?のさいころ
    英文の展開練習に使う。サイコロの面に○、×、?を2ずつ描く。生徒はサイコロを振り、○がでたら肯定文、×がでたら否定文、?がでたら疑問文を口頭で作る。

3つの文の作文が難しいクラスには、◯と×を3つずつ描いたさいころを使って練習する段階を経るとよい。疑問文での発話は難しいので、学習が進んでから○、×、?の発話を要求するさいころを使う。

○ カッターとカッターボード

雑誌から写真を切り抜いて絵カードを作るときに、定規といっしょに使うときれいに切れる。カッターボードとカッターがあると多量の紙を速く、きれいに切ることができる。カッターボードは大きさは、A4以上の大きさが使いやすい。100円均一コーナーでよい品物が手に入る。

○ 粘着剤付き マグネットシート

マグネットが厚紙程度の厚さのシート状になったもので、裏面に粘着シートが着いている。はさみで小さく切って、頻繁に使うカード(アルファベット・カード、数字カードなど)に裏紙をはがしてはる。絵カードを黒板にはったり、はずしたりが簡単にできる。ホワイトボードでの使用の場合は滑りやすいので、黒板での使用より大きめにしないと、絵カードがホワイトボードを滑り落ちることがある。26で述べる袋状の透明フィルムと共に使うのもよい。

○ 白カード

画用紙や厚紙を切って絵カード、単語カードを作るのは手間がかかるので、あらかじめ切ってある情報カードなどを用意しておくとよい。生徒の年齢や教室に合った大きさを使う。B6、B7判やA6、A7判の大きさはカードは豊富にあり、大きな文具店なら備えてあるのでそろえやすい。

○ 袋状の透明フィルム (商品名:「透明ポケット」コレクト株式会社)

切り抜いた写真や絵など紙質、大きさ、形がまちまちなものや、コピーしたもの、汚したくない絵カードなどを入れて使う。大きさはいろいろあるので、教室の大きさや、自分の持っている絵カードの大きさに合わせて買うとよい。透明なので大きさにあった白い紙を中に入れて使う。ここに絵を入れるだけで、絵を厚紙にはりつけなくても、簡単に絵カードができる。いらなくなったら、中の絵や写真を入れかえて別の絵カードとして使える。欠点は、先生が持って使うときに角度によって照明が反射して、絵が見えないときがあること。100円均一コーナーでも手に入るが、長期の使用には耐えない。18の粘着剤付きマグネットシートと併用すると黒板にマグネットなしで絵カードがとめられる。

○ 粘着剤付 保護、補強用フィルム

公立図書館などで書籍の保護用に使っているフィルム。汚したくない絵カードなどの表面にはったり、薄い紙質の物を厚紙にのせて上からこのフィルムをはって丈夫にするなどの目的に使え、ラミネーターの代用になる。目的の大きさに切ってから裏紙をはがし、台紙にのせた絵カードの上にはる。文具売り場やホームセンターで売っている。

リサイクル素材を利用した手作り教材

○ ペットボトルのふた(使用済みのペットボトルのふたにシールを貼って使うアイディアは、富塚京子さんと関陽子さんから教えていただきました。)

  • マーカー、チップ
    大きいペットボトルのふたは、外国製の丸型のスティッカーを貼るのにちょうどよい大きさである。いろいろなスティッカーを貼るととてもかわいいキャップに変身する。すごろくのマーカーや、得点用のチップとして使うとよい。 さらに、ふたの裏にも数字を書いたシールを貼っておくといろいろに使える。
  • チーム分け
    キャップを生徒の人数分だけ袋に入れる。生徒にひかせる。ひいた数によって偶数と奇数で2チームにわけられる。
  • Cake Walk(絵カードでも可)
    生徒の人数分+1,2個のペットボトルのふたを床に輪を描くように絵柄のシールを上にして置く。歌にあわせてその周りを歩き、歌が止まったら皆が1つ拾う。Who has number six?などと先生が質問し、その数字の貼ってあるキャップを持っている生徒が見せる。パーティーなどでは、そのキャップを持っている生徒が賞品(本来はケーキ)をもらうと雰囲気を盛り上げることもできる。

○ 牛乳パック

洗って乾かした後で、カッターを使って切りひらく。上下を除いた部分で糊付けしていない3面のみを長方形に切る。カッターとカッティングマットとものさしを使って切るとよい。これに油性のマーカーで文字を書いて単語カードを作る。

  • 単語カード、絵カード
    頻繁に使う数字、曜日、12ヶ月などの単語カードなど作る。裏にマグネットを貼るとよい。この長方形をさらに2枚か3枚に切って、アルファベットカードを作ったり、小さい絵を貼ったり、生徒が絵を描いたりしてもよい。
    多少手間はかかるが、こういうカードを使うと神経衰弱や記憶するゲームの時には、裏の絵柄や文字が手がかりになって市販のカードや厚紙を使うよりも覚えやすい。生徒にも環境にもやさしいし、教材費もおさえられる上に、とても丈夫なのでくり返しの使用に耐えてよい。
  • 名札
    適当な大きさに切って、安全ピンにリボンをとおし、ホチキスでとめて名札を作る。2穴パンチで穴をあけて、リボンかひもをとおしてもよい。

この台紙に直接名前を書かずに、台紙と同じ大きさくらいの紙片に名前を書き、セロテープでとめてもよい。くり返し使える。

○ カレンダー(使用済みのカレンダーをクラスで使うアイディアは、東京YWCA英語研究会の大橋美代子さんから教えていただいたものです。)

使用済みの書き込みのないカレンダー(絵や写真を除き、日にちと曜日の部分)を保存しておく。生徒の人数分が集まったら以下のことができる。

a. 曜日を言う練習と日にちの言い方のインプット

生徒全員にカレンダーの1か月分どれかを配付する。What day is 20th?と先生がきいて、生徒は、It's Sunday. などと一人ずつ答えを言う。答えが皆同じでないので、ごく自然に一人ずつに質問しながら日にちの言い方をくり返し聞かせられる。1st, 2nd, 3rd, 12th, 20th, 21st, 22nd, 23rd, 30th, 31stなどの日本人にとっては苦手な言い方を聞かせるよい機会になる。

b. 日にちのビンゴゲーム

カレンダーを使ってビンゴゲームができる。先生はコールするときに、It's 3rd. のように言い、生徒はそれぞれのカレンダーの該当する日におはじきやカラーチップなどを置く。斜めに3つ並んだらビンゴになる。どの月も数字の並びが同じため、縦の数字(7日の差)を続けてコールすれば、当然全員が同時にビンゴになる。横に並ぶ数字もビンゴになる可能性が非常に高い。これらを避けるには縦、横にそろってもビンゴとしない「斜めビンゴゲーム」というルールで遊ぶ。1st, 2nd, 3rd…29th, 30th, 31stと書いたコールカードを作っておき、これを生徒に順番に見せてコールさせれば日にちの言い方の発話練習もできる。

 

c. 月の名前あてクイズ

何月かが分からないようなカレンダーを使っておもしろいクイズができる。生徒全員にカレンダーの1月分どれかを配付する。生徒は配られたカレンダーを見て、国民の祝日や月の日数を手掛かりに何月かを推測する。わかった生徒は、(I think) this is January.のように発話する。