歌とチャンツを使った指導 2006年9月28日

今回は歌の導入法とリスニングのアクティビティーを多く紹介しました。歌をいかにたくさん聞かせるか、1曲をどう展開し文字認知までもっていくかをワークショップで実際に体験することで、別の歌やチャンツにも応用ができると思います。

子どもが歌えるようになるまでにいろいろなアクティビティーをしたり、歌に出てくる単語や文型をレッスンの中でカードゲームなどをしながら使ったりすることで、歌がレッスンの中心になることもわかっていただけたと思います。

今回は実際に歌う部分と、仕上げの部分にはあまり時間を使えませんでしたが、歌を紹介する中ででてきたように、耳からの情報である歌にあわせた身振りをその場でしたり、生徒自身が実際に部屋を動きまわったり、生徒自身が動き考えるなどの創作の機会を与えたり、絵カードなど視覚に訴える方法を使ったりすると子どもの心に歌が残りやすいと思います。

○ 参加者の知りたいこと

  • 恥ずかしがる年齢の子に自然と導入する方法
  • 子どもに興味を持たせる歌とチャンツの指導法(複数)
  • ハロウィンの行事、ゲームなど
  • 少人数でできるイベント用の寸劇、ゲーム
  • レベル別の教材
  • トータルな年間プログラムの中でどう(歌の指導を)位置付ければよいか

○ 歌について

Q1. 歌とチャンツにはどのような効果がありますか。
気分を高揚させる。楽しい。長く記憶に残り、思い出すのが簡単。
Q2. 歌をレッスンでどう扱っていますか。単なる気分転換や遊び、それとも時間つぶしでしょうか。
歌を中心にした年間のカリキュラムを作成したり、1レッスンの中心にしたりすることも可能。
Q3. 高学年に歌やチャンツを使うのは無理でしょうか。
内容やテーマを選び、歌の扱い方を考えれば、高学年でも充分使える。 身振りを楽しまない高学年の子どももいるが、いきなり歌わせないで課題を与えて聞かせ、徐々にならしてから歌うようにすればよい。
Q4. どうすれば楽しくて、しかも効果があがるでしょうか。楽しく歌って終わりですか。
何回かのレッスンで1つの歌を扱い、少しずつ要求基準を引き上げていく。 単語の読み書きや自己表現まで持っていくことも可能。

○ レッスンで歌を扱うときの注意

  1. 歌う前にたくさん聞かせる。
  2. 段階を踏んで練習する。最初から全部歌わせようとしない。
  3. 難しい歌詞があるときは、全部歌うことを要求しない。
  4. キーが高いときや歌いにくいとき、歌わない生徒がいるときには、メロディーを抜かしてリズムよく言うだけにする。
  5. できれば生徒が家で毎日歌を聞くよう習慣づけ、レッスンで毎回楽しく取り上げる。

○ ステップごとの指導法

ステップ 1 導入 内容の把握(歌の雰囲気やだいたいの内容を聞きとる 聞こえた単語を言う)

例:Are You Hungry? (教材リストの8番 New Let’s Sing Together)
ヒントを与えて、課題を与えて聞かせる。食べ物が出てくるのでどんな食べ物が出てきたかをよく聞くように指示して歌を聞かせる。聞かせた後にどんな食べ物がでてきたかを生徒が発表する。宿題で聞いてくるように指示するか、クラスで何回かくり返すかする。

ステップ2 リスニング 何度も聞かせる方法(生徒に無理に発話を求めないでインプットに徹する)

- カードを掲げる 例:Seven Steps

数字のカードかペープサートを生徒に配り、歌をきいて自分の持っているカードの単語が聞こえたらカードを掲げる、2回目に聞こえたらカードをおろすように指示する。歌にあわせてリズミカルに行なう。カードを取り替えて同じことをし、歌を何度も聞かせる。

- 順に並べる 例:The Yellow Chair Chant(教材リストの5番 Let’s Chant, Let’s Sing Book 1)

  1. 色が何種類か出てくるので聞こえた色をテーブルの上に並べるように指示する。色のカードか色鉛筆を2,3人に1セット渡し、歌を1回だけ聞かせる。何色が出てきたかを生徒にきく。
  2. 全部の色が並んでいないようなら再度聞かせる。
  3. 歌に出てきた順番に色を並べるように指示し再度聞かせる。
  4. どんな文具が出てきたかを聞き取るように指示し再度聞かせる。
  5. それらの品物は何色かを聞き取らせる。

- 絵カード並べ 例:Twelve Months (教材リストの8番 New Let’s Sing Together)

絵カードを歌に出てくる順番に並べるか、生徒にカードを1枚ずつ配り歌の順番に並ぶように指示する。

– Point to the picture 絵を指差す。 例:Are You Hungry? (教材リストの8番 New Let’s Sing Together)

歌詞に出てくる単語の絵をコピーして生徒に渡し、絵を指差しながら聞かせる。 

– Cake Walk

生徒の人数分以上の絵カードを床に輪を描くように置く。音楽にあわせてその周りを歩き、歌が止まったらカードを1枚拾う。Who has …?と先生が質問し、カードを持っている生徒が見せる。これをくり返す。パーティーなどでは、先生がコールしたカードを持っていたら賞品をもらう。

– Fill in the blanks 歌詞の一部分を抜いたワークシートを配付し、絵や単語を入れる。

例:The Good Student Song (教材リストの2番 Children’s Jazz Chants Old & New)
今回のワークショップでは、先生用に三単現のSとher/hisに注目させたい中学生向けのものを例として使用。ブランクにする部分は、生徒のレベルにあわせる。文字が読めない子どもには、絵を描く、色をぬるなどさせてもよい。

- 歌にあわせて動く 例1:Seven Steps

歌にあわせて身体全体や腕や指を動かす。振り付けや動作を考える。輪になって手をつなぎ歌にあわせてまわったり、輪の中に入ったり出たりする。動き回る場所がないときには、歌にあわせて身体の部分を手で触っていくのもおもしろい。どの語でどこを触るかは生徒が考える。生徒たちからそれぞれのアイディアを引き出せば、何回も繰りかえして歌をきくチャンスが作れる。

例2:Ten Fat Sausages (教材リストの8番 New Let’s Sing Together)
歌の内容にあった動作をする。手で数を表わすのを日本式と英語式の両方でやるのもおもしろい。

例3: I’m a Witch(この歌は、Katheen Kampa Vilinaが2004年にETJ他のメーリングリストで紹介したものです。Skip to My Louのメロディーで歌います。)
歌のキャラクターにあわせて動作をする。Hee, Hee I’m a witch.を3回繰り替えして歌い、最後は Happy Halloween! Hee! Hee!のようになる。この他に、Boo! Boo! I’m a ghost. Meow! Meow! I’m a black cat. Whoo! Whoo! I’m an owl. Eeek! Eeek! I’m a bat. Twinkle, Twinkle, I’m a princess!などがある。

子どもに人気のある歌の多くは、歌にあわせて身体や手指などを動かす歌であるが、そういうことを楽しく感じない年齢には、歌をリスニングの教材として扱い、ヒントや課題を与えて聞かせたり内容を聞き取って絵を描かせたりするのもよい。

- Tapping/syllable Counting 歌にあわせてシラブルの数をペンなどでテーブルを軽くたたく、手を叩く、季節の行事の色や絵柄のシェイカーを振るなどして音を出す。

例:Black Cat (教材リストの13番 Song Works for English Class)
look-ing for a witchは5つ、Hal-low-eenは3つ叩く。

ステップ 3. 歌う/発話のゲームをする 単語を言う、文章の中で単語を使う

- Clapping Game 色

リズミカルに手を2回たたき、3で自分の単語、4で友だちの単語を4拍で言う。シラブルの少ない単語ならどんな単語でも使える。3人~15人くらいまで可。1,2年生くらいまでの子どもはコールする単語選びに時間がかかってしまい楽しく遊べないこともあるが、3年生以上はすごく楽しむ。集中力を必要とし、他の子どもの言うことをよく聞いていないと遊べない。生徒が正しく発音しているかをごく自然にモニターするのにとてもよい。

ステップ 4. 文字学習 アクティビティーをしながら文字を読む、単語を読む

  • 歌詞を見て指でさしながら歌う。
  • 歌詞を声をだして読む。
  • 単語カードを歌の順番に並べる。
  • ワークシートを作って、空欄に歌詞を書き入れる。絵と文字を結び付ける、単語を書写するなど個別の作業をする。
  • カードで遊ぶ 絵と文字を結び付けるカードゲームをする。
  • Draw Pictures 単語を読んで、文字の上に絵を描く。
  • Put the lyrics in order 歌詞を書いたカードを並べる。単語カードを持った生徒が歌の順番に並ぶ。

ステップ 5. 仕上げ 歌の内容を展開する(各自の興味やレベルにあった内容で創造力を発揮)

自己表現:自分のことや友だち、家族のことを絵、単語、文で表現する
替え歌作り:歌の歌詞の一部分を替えて歌う。
絵画表現:歌の内容やそれを発展させた内容を絵で表現する。絵に単語や文章を書き入れる。
口頭表現:歌の内容について文章で表現する。
絵本:テーマに関連した絵本を読み聞かせる。一緒に読む。生徒が1人で音読する。
創作:歌の内容や歌詞に合わせた動作を生徒が考える。歌に出てくる単語を使って、自分のストーリーを創作する。

○ 1曲の展開例 3年生 例:Two Little Blackbirds (教材リストの8番 New Let’s Sing Together)1回目のレッスン 導入

歌をかけながら2羽の鳥が飛び立つようす、戻ってくるところなどを黒いビニールテープを爪にはって実演し生徒に見せる。家で歌をよく聞くよう生徒に宿題の指示。

2回目のレッスン 練習 家で家族にマジックをやって見せる準備
背景となる丘の絵や花を画用紙に描く。その間何回も歌をかけて聞かせる。黒いテープを生徒が自分達の爪にはって歌にあわせて鳥の動作を練習。

3回目のレッスン 練習
家で家族に見せたときの様子を話す。生徒2名が鳥(JackとJill)になり、ホワイトボードの前に立つ。腕を翼にして動かしながら飛び去るようにボードの後ろに隠れる。Come backのところで前に戻ってくる。別の生徒が同じようにする。

4回目のレッスン 文字学習
歌詞を書いたワークシートを見て指差しながら言う。歌を聞きながら絵の情景を歌詞の下に描く。

5回目以降 文字認知
歌詞を大きく拡大し、フレーズごとに切り離す。(Two Little Blackbirdsで1枚、Sittingで1枚、 on a hillで1枚くらい)生徒が歌のとおりに並べる。必要があれば歌のCDをかけながらやる。並べ終わったらあっているかを確認する。このときに一緒に読ませてもよい。