高学年の指導 2006年11月26日

1)低学年との違い

○ 高学年だから可能なこと、特徴

他人の意見を聞ける。
じっと座っていられる。
ルールを理解できる。
友人と協力してなにかできる。
知的好奇心が強い。知識を得られることがうれしい。
文法(言葉を組み立てるルール)の意味がわかってくる。主語を入れ替えるなどの練習ができる。
単語を入れ替えて自分で文章を作るなど応用ができる。
目的意識があり、やる気がある。
自分の力で初見の文を読むことにチャレンジできる。読むことを喜ぶ。
社会的な問題など自分を取り巻く大きな世界への関心がある。いろいろなテーマを扱える。
ロックなど大人の歌が使える。
記憶することが得意になり、楽しむ。
自分でなにかを選べる。

○ 高学年が好まないこと

簡単すぎることを嫌う傾向がある。
羞恥心があるので皆の前で間違えることを恐れる場合が多い。
歌に合わせたジェスチャーやダンスをいやがる場合が多い。
歌やチャンツを好まないことが多い。
輪になって立ち、お互いの姿が見えすぎると心地悪そうになる。

参加者の体験談:

1)子どもの態度は、指導によって大きな差があることを実感した。公立小学校の2つのクラスで同じアクティビティーをやったが、一つのクラスは6年生でも間違えを恐れずにどんどん発言する。別のクラスでは、5年生でも間違えを恐れてだれも挙手しようとしない。指導者のクラス運営のしかた次第で子どもはすごく変わると思う。

2)高学年に歌を使うのは難しいと言われるが、歌の内容が幼稚でないものや動作を伴わない歌ならば充分に使える。歌を選べばリスニングの教材として使い、内容の把握なども興味をもってやることを経験した。Europeというグループの歌う、Countdownという歌、地球の終わりが近づき宇宙へ脱出する内容、を熱心に聞き取りをした。高学年クラスでは歌うのは無理とか、体を動かすのは難しいなど決めつけないで試してみたほうがよい。ロックなど子どもの歌以外で試してみると興味をもつこともある。

2. 動詞の指導

2.1 高学年にふさわしい教材とはどんな教材か

絵のタッチが幼稚でないもの。
市販の動詞の絵カード教材はあまり多くはないが、動詞だけでなく目的語がついているものが高学年にはよい。
ドリル練習ができるもの。
コースブックでは扱う動詞の数が少ないので、動詞を単語として練習すると後で発展できてよい。

2.2 高学年が楽しむアクティビティーの共通点

素早い動作を伴うもの。早押しクイズやカード取り
楽しいだけでなく内容を伴うもの。考える内容があること。○×ゲーム(Tic Tac Toe)
チャレンジできること。簡単すぎないこと。

2.3 文型の練習法

○ さいころ2個で文型練習

I am going to … by … (このゲームはChris Hunt氏がJALT Junior 2006で紹介したものです。ご本人の許可をいただいて紹介します。)

  • 1)赤と緑など色の違うさいころを2つ用意し、紙コップなどの容器に入れる。
  • 2)1~6を板書し、数字の脇に、1 the supermarket, 2 station, 3 the library, 4 the bakeryなど街にある施設や店屋の名前を書く。絵カードを貼ってもよい。
  • 3)もう1組1~6の数字を書き、その脇には交通手段を書く。絵カードを貼ってもよい。1 bicycle, 2 car, 3 truck, 4 motorcycle, 5 taxi 両方とも6にはなにも書かないでおき、生徒が自由に考えるようにする。
  • 4)生徒は順番にカップを持って振り、さいころの数を見る。(注意:さいころをテーブルの上に出さずに、容器の中に入ったままの状態でどの目がでたかを見る。)赤が3、青が4だったとすると、I am going to the library by motorcycle.のようにさころの目に従って文章を作る。6が出たときは好きな単語を入れて文章を作る。
  • 5)ゲームに慣れたら、通常使わないような乗り物(ambulance, helicopter, ship, police car)を入れて、通常ではありえないような文章ができたときだけに得点をつけ、一定時間に変な文章がいくつできたかをカウントするのもおもしろい。

応用:このゲームは名詞と形容詞、名詞と前置詞などいろいろな文型練習に使える。高学年はこのような遊びの要素を入れて文型をなんども繰り返すことで文章を組み立てる力がつくと思われる。

○ 疑問詞を整理する

疑問詞をある程度整理しておくための質問ゲーム。短時間で終わるし、さいころさえあればあまり教材も使わないのでレッスン前のウォーミングアップや、レッスンの最後の時間調整のアクティビティーにもよい。

  • 1)さいころの目に疑問詞を割り当てておく。1 how, 2 what, 3 when, 4 where, 5 who, 6 whichのようにし、カードを作っておいてもよい。
  • 2)生徒はさいころを振り、出た目の数字に従って先生が質問をする。2が出たら、whatを、4が出たらwhereを使ったそのクラスにふさわしい質問をする。入門期であまり多くの質問ができないクラスには、同じ疑問詞を2~3つ入れてもよい。

注意:whoを使った生徒自身に関する質問はあまり多くはないが、Who sits behind/in front of/next to you? など学校の席順の他、Who works in a restaurant/school/hospital? など職業と職場に関する質問や、Who drives a taxi/bus/truck?のような質問をしてもよい。

応用:質問に答えられるようになったら、生徒が質問をしてもよい。質問をするのは難しい場合は、疑問詞別の質問カードを用意し、それを読んでもよい。

○ 平叙文、否定文、疑問文の3つの型を意識させる

否定文や疑問文という語を使わなくても、この3つを意識させて口頭で練習したり、文章を書き写して文末の記号や省略形(don't/isn't)なども練習しておくとよい。

普通のさいころの6つの面に2つずつ○、×、?を書いたシールを貼る。動詞カードと組み合わせてこのさいころを振り、○がでたら平叙文、文章を作る練習をする。動詞カードがplayで、○が出たとすれば、I play basketball. ×が出たら、I don't play soccer.のような文章を作る。疑問文を作るのが難しいときには、まず○と×だけを使って否定文と平叙文のみを練習する。

主語は生徒のレベルにあわせて選ぶ。レベルを高くしたければ、主語をいろいろに変えて三単現のSを使う文章を作らせる。

3. クリスマスをテーマにしたアクティビティー、パーティーゲーム(高学年向け)

1. Reindeer Quiz
トナカイに関する簡単な資料を英語で読んで、簡単な英語の質問に答える。絵に体の部分の名称を書く。例:角はメスにもあるか。トナイカイの毛は夏に何色か。(資料は、http://www.enchantedlearning.com/で2000年にダウンロードしたもの。このサイトは現在も季節のクラフトなどアイディアがたくさん掲載されている。) 2. Santa Claus Quiz: 早押し
1対1で勝負する。先生がサンタクロースについての質問を読み上げる。答えがわかったらベルを早く押し回答する。受け付けなどにおいてある呼び鈴を使うが、なければ生徒2名の間にキャンディーをひとつ置き、答えがわかったらキャンディーをさっと取る方法でもよい。パーティーなどでやると楽しい。質問の内容を別の季節の行事のものに変えたり、生徒にあわせた内容の質問に変えたり、英語の足し算引き算などにしたりすればいつでも遊べる。 3. Stocking Passing Game: 歌(大人数用、低学年でも可)

生徒は輪になって、We Wish You a Merry Christmasなどの歌にあわせてキャンディーの入った容器をまわす。歌が止まったときに容器を持っている生徒が英語でクリスマスに関係のある単語、あるいは文章を言う。言ってからキャンディーをひとつもらう。3~4回繰り返す。人数が10人以上いれば容器を2つ用意するとよい。歌が止まったときに二人の生徒が容器を手にしていたら、二人とも単語を言ってキャンディーをもらうことができる。

注意:同じ単語を二度言わないようにすること。人数が少ない場合は、キャンディーをもらえなかった子どもがひとりだけいるような状況にならないように注意すること。

4. Tic Tac Toe 4×4 (Initial Consonants)
クリスマスの絵を16枚ボードにはり、○×ゲームの要領で遊ぶ。絵の最初のサウンドかアルファベットを言う。 5. What is Christmas?
クリスマスになにをするかを絵で表したカードをテーブルに並べる。絵の説明文を先生が読み上げて絵を選ぶ。日本では子どもはプレゼントをもらいケーキを食べるだけの場合が多いが、貧しい人への寄付などをする時期であることも知らせ、Sharingについて教えたい。 6. Picture and Word Matching Game (Word recognition)
クリスマスと関連した絵を表にしてテーブルに並べる。絵と対になった単語カードを重ねて伏せてまん中に置く。一番上の単語カードをめくり、それとあう絵を探す。 7. Straw Game (低学年でも可)
クリスマスにふさわしい大きめのシールを2枚あわせて輪ゴムを挟む。輪ゴムの下にシールがぶらさがるようにする。これをチームの数だけ用意する。生徒をチームに分けて、ストローを各自に配る。全員ストローを口にくわえる。先頭はこの輪ゴムを手でストローの先のほうにひっかける。手を使わずに次の生徒にリレーし、最後の生徒まで移動させていく。早く終わったチームの勝ち。 4. 読みのプログラム

4.1 ふさわしい生徒のレベル
aの方法は入門期でも可。入門期を過ぎて、アルファベットや三文字の単語がほぼ読めるようになり、ある程度の数の単語を知っているクラスは、bの方法が可能。いずれの方法も生徒の興味があれば、多少難しい単語があっても助けを借りながら読んでしまう。絵のタッチも重要な要素。

4.2 いろいろな方法

a. Shared Reading(1年目の3~6年生、英語学習経験と年齢がさまざまなクラスでSpringboard Level3や学習中のテーマ、季節の行事と関連した絵本などを使用。)
Tが本について簡単に紹介した後で読んで聞かせる。
Tと生徒が内容について話し合う。どのページが好きか、ストーリーの展開や結末をどう思うかなど。
Tが読み、生徒が後に続いてコーラスで読む。
できれば生徒が一人で音読する。Tが聞く。
余裕があればBook Reportを書く、自分ならどうするかなどを絵で表現する。

b. 菊池流 その1(好きな本を生徒が選んで音読する。いろいろなクラスでいろいろなリーダー教材や絵本を使用。Sight Word Readersは高学年の男子が全く興味を示さないこともある。そういう生徒にはノンフィクションで写真を使っているリーダー教材、One Hundred Booksのサイエンスのシリーズなどを使用するとよい。)
生徒が読めそうなリーダー教材か絵本を複数のタイトル用意する。3、4人で1回に3~4冊。
生徒が好きな本を自由に選び、音読する。Tがそれを聞く。
間違いがあれば訂正する。読めないところは手助けする。
日にちと本の番号かタイトル、簡単な感想をにこにこ顔か、A~Cなどランク付けして表に記録する。

c. 菊池流 その2(生徒にとって簡単な内容で短い本をリスニングの教材として使う。3年目の5年生にMice Seriesの中から1冊を使用。)
まず表紙を見せてから本のページをめくらず、CDをかけて内容を推測する。
その後で本を見ながら再度CDをかけて聞く。内容が推測とあっていたかを確認する。
Tの後を生徒が音読する。
Book Reportを書く。登場人物、繰り返し出てきた言葉以外は日本語で書く。
余裕がある生徒は最後のページの続きを創作し、その場面の絵を描く。

4.3 読みのプログラムに使用した教材

Dolphin Readers. OUP
Learning Media. Thomson ELT
Mice Series. Longman
One Hundred Books. Scholastic
PM Plus. Thomson ELT
Potato Pals. OUP
Sight Word Readers. Scholastic
Springboard Level 3~5. Macmillan Language House
Storybooks. CUP
Story Street. Longman