小学校での英語プログラムを考える 2007年2月25日

講師:吉村博与さん(荒川区英語教育アドバイザー)

1)公立小学校の英語プログラムについて

現在、全国で55地域が構造改革特区になっていて、総理府が管轄している。研究開発校は77校あり、文部科学省が管轄している。

現在90%以上の小学校がなんらかの形で英語プログラムを実施しているが、平均すると年間13時間くらいの実施が多く、90%以上学級担任がかかわっている。

2)荒川区の英語プログラムについて

荒川区は構造改革特区であり、英語教育アドバイザーが各校に配置されている。荒川区では英語プログラムを1~6年生に年間35時間実施し、実際の指導は学級担任が中心になって行なっている。指導には3回に1回はALTが加わることになっている。

英語教育アドバーザーは、荒川区が作成したカリキュラムに基づいた指導計画を学級担任の個性や好み、クラスの子供たちにあわせて担任と作り、指導案は担任が作成している。アドバイザーは実際の指導現場に常時いて指導への助言や手伝いをする。

英語の指導には苦手意識を持つ教員もあり、初年度はアドバイザーに90%は指導して欲しいと言っていた教員もいた。しかし、だんだんと英語のプログラムに慣れてきて、それにつれてプログラムに積極的になり、年度末の仕上げの寸劇の発表では自らが役を演じたり、それぞれの個性を生かした見事な指導ができるようになってきた。英語は苦手と言っていた教員が熱心になる傾向が見られる。

韓国では、初期には英語専任が指導していて、とても多くのクラスを受け持つため、生徒の名前さえ覚えられないケースも見られた。その後はだんだんと専任が担任に変わっていったという報告がある。小学校では、毎日子供と接していて他の教科も指導している学級担任が英語の指導も行い、担任のサポート役として、言語材料の選択やアクティビティーのデザインなどを補助したり、ALTとのコミュニケーションの手伝いやさまざまな交渉役をするアドバイザーが存在する荒川区の例はとてもよいと考えている。

荒川区の教員の中には、夜間のコースを取って指導法を学ぶ人、長期休暇に海外に学びに出かける人もいる。一般的に見られているよりも英語のレベルは高く、発音などは音声教材の使用とあわせれば、それほど大きな問題ではない。指導力があり、子供のことをよくわかっている学級担任が指導する効果は大きい。

別の地域の小学校の例ではあるが、Thursdayの発音をネイティブスピーカーではないALTが"Tursday"と発音していても、子供たちがよく音を聞き分けている、との報告を最近の研究大会できいた。

3)数に関連したトピック例

  • 1年生 数で遊ぼう 1~10、名詞の複数
  • 2年生  数で遊ぼう 1~20
  • 3年生 年齢、持ち物の数(1~30)、電話番号
  • 4年生 時差について(ロンドンでは今何時?)、買い物をしよう(1~100)
  • 5年生 英語で計算しよう(1~1000)、ファーストフード、給食のカロリー計算、
    何時に起きますか?、誕生日はいつ?(順序数)
  • 6年生 いろいろ測ってみよう(1~9999)、何年に生まれたか(歴史上の人物など)

4)歌、チャンツ、遊び

○ Seven Steps

普通に歌う他に、いろいろにかえて歌う

a. ボードに順番に数字カードをはるが、1のカードを7の右隣に置く。歌う時は、Two, three, four, five, six, seven, oneと歌う。繰り返しの部分は、Two, three, four Two, three, fourと歌う。

b. ボードに1~7の数字をシャッフルして順不同に、横一列に並べてはる。はってあるように歌う。例:2, 7, 1, 4, 5, 6, 3とはった場合には、Two, seven, one, four, five, six, three. 繰り返しの部分は、最初の3枚を歌う。

c. bと同様にして数字を順不同にボードにはる。その後で1~2枚カードを抜いてしまう。抜いたカードが何かを質問して確認する。抜いた数字が何かを考えながら皆で全部の数を歌う。

d. 中国語、韓国語、ポルトガル語、フランス語などでも歌う。

○ One potato, two potatoes

数人が輪になって立ち、右手のこぶしを次々と乗せていく。最後の部分、eight potatoes, moreのmoreを言うときに、一番下になっている手を上に素早く動かして他の子供の手をたたく遊び。

○ Ten Fat Sausages

黒板にフライパンの絵を描いて、マグネットをつけたソーセージを10個並べ、歌にあわせてソーセージを動かして、フライパンの外に出す。子どもたちがソーセージを動かすと盛り上がる。

○ Ten Little Witches

マグネットのついた魔女の絵を黒板の上で、歌にあわせて増やしたり、減らしたりする。monkey, appleなどでもよい。冬なら雪だるまがおもしろい。

○ 音のする楽器を使う

カスタネットやタンバリンなどを先生が何回鳴らしたかをきいて英語で言う。デジタルタイマーで表示されたりした数を英語で言う活動を工夫した先生がいて感心した。また、反対に、先生が言った数を子どもが表示する活動も面白かった。

○ Octopus Eight(1~8の数を英語で言うゲーム)

輪になって立ち、最初の子供が"One."と言って、軽く片手を握って自分の肩に触れるように胸を交差させる。右手で左肩を触れた時には、左側に立つ子供が次の数を言う。その子は、"Two."と言うが、同じようにしてどちらかの手を肩に持っていく。右に進むか、左に進むかは自分で決める。右手を左肩に置いた時には、左隣りの子供が次の数を言う。左手で右肩を触れた時は右に進む。8まで言い終わったら、また1から始める。

○ Before and After Game

輪になって立つ。最初の子供が数字ひとつ言い、全員2回手を叩く。たたき終わったらすぐにその子が、before/afterのどちらかを言う。その後また全員で2回手を叩く。その後左隣の子供が該当する数を言う。最初の子供が、"Ten. (clap, clap) Before." と言ったとすれば、次の子供は、"Nine. (clap, clap) After." のように言う。before/afterのどちらを言うかは自分で決めて好きな方を言う。手を2回たたいている間になにを言うかを考える。リズムよく次々に続けていく。

○ Plus and Minus(数字のすごろく)

すごろくの盤にばらばらに書かれた1~20までの数字の上をさいころの目にしたがって進む。とまった箇所の数を足していき、合計が100に達するか、時間内に一番大きい数に達した子供が勝つ。30ほどのますの中には、マイナス5が3つ、マイナス10が1つあり、そこにとまったら引き算をする。ゴールはなく、環状になっているので、盤の上を何回も回りながら数を英語で言う練習ができる。別紙に足し算と引き算の計算をし、その都度数字を記録していく。(アルクの「こども英語」の前身、kids com 2001年3月号Fun for Kidsより)

○ Ten Little Snowmen

雪だるまの絵を歌にあわせてボードにはっていく。その後、ワークシートに輪郭だけの雪だるまを書いたものを配り、お店屋さんごっこの形で手袋、マフラー、帽子、目、鼻、口などの色を子供が選んで買い物をし、自分の好きな雪だるまを作る。

5)小学校での英語プログラム成功のためのヒント

  • – 算数の教科書には英語のレッスンに使える絵やトピックが豊富にある。
    何色の図形がいくつあるかなど
  • – 地図帳も数のレッスンに使える資料があり、高学年の指導によい。
    川の長さ、山の高さ、県の面積など
  • – 少人数の英語教室で扱う内容よりも簡単に、単語も少なめにする。
    1年生の場合、1~10を一度に教えないなど、少しずつ増やす配慮が必要。
    – あるクラスではできるアクティビティーが別のクラスではできないということもある。
  • 担任のクラス運営のしかたや子供によって、クラスの雰囲気が違う。
    – 学級担任がよいアイディアを出すことが多いので相談するとよい。
  • – 担任の好みや得意なことを考慮に入れて指導プランを作る。
    子どもたちの個人差に配慮して、シンプルな活動に飽きさせないような変化をつけて、少しずつ目標に近づけていくことが大切である。